記事2026-08-23

税込500万円以上のリフォームは、許可を受けた業者しか請け負えない — 建設業許可は契約前に無料で確認できる

リフォームの請負代金が税込500万円以上なら、その工事は建設業の許可を受けた業者でなければ請け負えません。税抜表示で線をまたぐ場合、契約を分けた場合、施主支給がある場合の扱いと、許可業者かどうかを国土交通省の検索システムで無料で確かめる手順を、条文と一次資料の記載だけで整理しました。

この記事は リフォーム見積チェッカーリフォームの見積を、契約する前に確認)を作る過程で、 一次資料を読んだ記録です。事業者への送客はしていません。

リフォームの見積書を渡されて、金額が妥当かどうか判断できない、という状態はよくあると思う。この領域には公的な相場統計が存在しない。同じ「システムキッチン交換」でも、メーカー・シリーズ・グレード・間口で価格が何倍にも動くし、工事は既存住宅の状態に強く依存する。だからこの記事は、金額の高い・安いを一切書かない。

ただ、金額を見て機械的に決まることが一つだけある。請負代金が税込500万円以上なら、その工事は建設業の許可を受けた業者でなければ請け負えない。これは建設業法が定めていて、許可を受けているかどうかは、契約前に誰でも無料で調べられる。

先に断っておく。500万円未満なら許可は要らない。 許可を持っていないこと自体は違法ではないし、無許可だから悪い業者だという話でもない。この記事が書けるのは、「この金額なら許可が要る工事なのに、許可を確認できる情報が見積に無い」というところまでになる。


1. 線は「税込500万円」— 条文はこう書いてある

建設業法第3条第1項の本文は「建設業を営もうとする者は……許可を受けなければならない」と書いたうえで、ただし書でこう外している。

ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。

その「軽微な建設工事」の中身が、建設業法施行令第1条の2第1項にある。

法第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事は、工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)に満たない工事又は建築一式工事のうち延べ面積が百五十平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事とする。

国土交通省の「建設業の許可とは」も同じ内容を整理していて、そこには税の扱いが明記されている

[2]建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事 ※上記金額には取引に係る消費税及び地方消費税の額を含みます。

表にすると、こうなる。

工事の区分許可がなくても請け負える範囲(=軽微な建設工事)判定に使う金額
建築一式工事以外請負代金 500万円未満税込
建築一式工事請負代金 1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅を建設する工事税込

条文の書き方は「この額未満なら許可が要らない」。裏返すと、この額以上の工事は、許可がなければ請け負えない

無許可で請け負った場合の罰は、業者の側にかかる。建設業法第47条第1項第1号が「第三条第一項の規定に違反して許可を受けないで建設業を営んだとき」を三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金とし、第53条第1号は法人に一億円以下の罰金刑を科すとしている。発注した側が罰せられる規定は置かれていない。

ここは読み違えやすい

  • 500万円は「業者が請け負える金額の上限」ではない。 許可を受けている業者が請け負う金額に上限は無い(後述の一般・特定の話)。500万円は「許可が要るかどうか」の線でしかない。
  • 「500万円以下」ではなく「500万円未満」。 税込ちょうど500万円は、許可が要る側に入る。

2. 税抜表示の見積は、線をまたいでいることがある

判定は税込で行う。ところが見積書は、税抜の金額を並べて最後に消費税を足す形が多い。税率10%で並べると、こうなる。

見積の税抜総額税込許可が要る側か
400万円440万円いいえ
450万円495万円いいえ
455万円500万5,000円はい
480万円528万円はい
500万円550万円はい

税抜480万円は、一見500万円を下回っている。 しかし税込では528万円で、許可が要る側に入っている。分岐は税抜454万5,455円(=500万円 ÷ 1.1)あたりなので、税抜450万円台の見積は、税込にすると線をまたいでいる可能性がある

見積が税込なのか税抜なのかが書面から読み取れないこともある。その場合は、許可の話より先にそこを確定させることになる。


3. 契約を2本に分けても、合計額で判定する

施行令第1条の2は、続く第2項でこう定めている。

前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでない。

国土交通省の建設業許可事務ガイドライン(第3条関係)も、同じことを運用の言葉で書いている。

「軽微な建設工事」に該当するか否かを判断するに当たっては、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、正当な理由に基づいて契約を分割したときを除き、各契約の請負代金の額の合計額により判断し、

ただし「正当な理由に基いて契約を分割したとき」は除かれている。 工期や工区が実際に分かれていて別契約にするのが自然、ということは普通にある。だから「2本に分かれている=おかしい」とは言えない。聞けるのは「なぜ2本の契約になっているのか」までになる。


4. 施主支給の材料費も、判定の金額に足す

同じ条の第3項。

注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。

ガイドラインも「注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送費を当該請負契約の請負代金の額に加えた額により、判断することとする」としている。

つまり、「設備はご自分で買っていただいて、工事だけうちで請けます」という形にして見積上の請負代金が下がっても、判定に使う金額は下がらない。施主支給が悪いという話ではなく、線を判定するときの金額の数え方がそうなっている、という話になる。


5. 「うちは建築一式なので1,500万円まで」と言われたら

建築一式工事なら線は1,500万円になる。では全面リフォームは建築一式工事なのか、というと、そこは金額から機械的には決まらない。

建設工事の種類の中身は、昭和47年3月8日建設省告示第350号が定めている。

建築一式工事  総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事

建設業許可事務ガイドラインは、これに注釈を付けている。

なお、土木一式工事及び建築一式工事については、必ずしも二以上の専門工事の組み合わせは要件でなく、工事の規模、複雑性等からみて個別の専門工事として施工することが困難なものも含まれる。

建設業の許可は業種別で、国土交通省の説明では「建設工事は、土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事のほか、27の専門工事の計29の種類に分類されており、この建設工事の種類ごとに許可を取得することとされています」となっている。内装仕上工事・管工事・塗装工事・屋根工事といった専門工事として請け負うなら、線は500万円のままになる。

延べ面積150㎡未満の木造住宅工事という側の要件も、用語が定義されている。

●「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの ●「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの

どちらに当たるかは工事の内容によるので、見積書の外側からは決められない。聞けるのは「この工事は29業種のどれとして請け負うのか」までになる。


6. 許可業者かどうかは、契約前に無料で調べられる

国土交通省が検索システムを公開している。

メニューから「建設業者」を選ぶ。大臣許可も知事許可も、同じシステムに入っている。 東京都都市整備局の「建設業許可業者検索」も、都知事許可の業者を含めてこのシステムを案内している。

全国の許可行政庁(国土交通省及び各都道府県)から許可を受けている建設業許可業者の情報(許可番号、商号又は名称、代表者氏名、所在地、許可を受けた建設業の種類、許可の有効期限 等)を検索することができます。 ※更新頻度は月2回です。

検索条件に使えるのは、商号又は名称(全角カナ/漢字)・許可番号(大臣か知事かの別と番号)・所在地の都道府県・業種(29業種の略号)・一般建設業か特定建設業かの別・営業所のキーワードになる。商号だけで引けるので、見積書に許可番号が書かれていなくても調べられる。

検索結果の一覧に出るのは、許可行政庁/許可番号/商号又は名称/代表者名/営業所名/所在地。行を開くと詳細画面になり、次のように並ぶ(2026-08-23 に実際に検索し、詳細画面まで開いて確認した)。

詳細画面の項目中身
許可番号「国土交通大臣許可 第○○○○○○号」「○○県知事許可 第○○○○○○号」の形で出る
商号又は名称/代表者の氏名カナと漢字の両方
主たる営業所の所在地/電話番号郵便番号から
法人・個人区分/資本金額/建設業以外の兼業の有無記載あり
許可を受けた建設業の種類29業種の一覧に 1(一般建設業)・2(特定建設業) が入る
許可年月日/許可の有効期間「R○○年○月○日からR○○年○月○日まで」
許可条件条件が付いていれば

見積書に書かれた商号・所在地・代表者名と、ここに出るものが一致するかまで確認できる。

注意が2つある。

  • 載っていない=無許可、とは限らない。 国土交通省の案内は「新規許可取得や許可内容の変更は、概ね1ヶ月程度で検索システムに掲載されます」としている。取得や変更の直後は反映されていないことがある。
  • 業種を見る。 「建設業許可を持っています」だけでは足りず、頼もうとしている工事の業種の許可かが問題になる。詳細画面の29業種の欄で確認できる。

処分歴は、別のサイトになる

行政処分の履歴は、この検索システムには出てこない。国土交通省は別にネガティブ情報等検索サイトを出している。

ここでは、処分を行った行政庁・処分年月(2015年以降)・商号又は名称・所在地・代表者名に加えて、処分内容(許可取消/営業停止/指示/勧告)処分理由(一括下請負、無許可業者等との下請契約、許可要件の欠落、他法令違反など)で検索できる。サイト自身は、その目的を「事業者に対し追加的なペナルティを科すために行うのではなく、事業者の適正な事業運営の確保を目的とするもの」と説明している。


7. 一般と特定、知事と大臣 — 何が違うのか

許可には2つの区分がある。どちらも「格」の話ではない。

一般建設業と特定建設業は、下請に出す金額で分かれる。国土交通省の説明はこう。

この区分は、発注者から直接請け負う工事1件につき、5,000万円(建築工事業の場合は8,000万円)以上となる下請契約を締結するか否かで区分されます。

この5,000万円/8,000万円は、令和7年2月1日の政令改正で4,500万円/7,000万円から引き上げられた額になる。そして同じページが、発注者から請け負う側には金額の制限が無いとはっきり書いている。

*発注者から直接請け負う請負金額については、一般・特定に関わらず制限はありません。(請け負うのみであれば、金額がいくらであるかに関わらず一般建設業の許可で足ります。)

つまり「一般建設業だから小さい工事しかできない」わけではない。一般か特定かで、こちらが頼める工事の規模が決まるのではない。

知事許可と大臣許可は、営業所がいくつの都道府県にあるかで分かれる。2以上の都道府県に営業所を設けるなら国土交通大臣、1つの都道府県だけなら都道府県知事の許可になる。こちらも施工できる区域の話ではない。

上記のとおり、大臣許可と知事許可の別は、営業所の所在地で区分されるものであり、営業し得る区域または建設工事を施工し得る区域に制限はありません。

有効期間は5年で、5年ごとに更新を受けなければ失効する(第3条第3項)。詳細画面の「許可の有効期間」を見れば、いつまでのものかが分かる。


8. 現場と店舗の標識にも、同じことが書いてある

許可を受けた業者には、標識を掲げる義務がある(第40条)。記載事項は建設業法施行規則第25条に並んでいる。

  • 一般建設業又は特定建設業の別
  • 許可年月日、許可番号及び許可を受けた建設業
  • 商号又は名称
  • 代表者の氏名
  • (建設工事の現場の場合)主任技術者又は監理技術者の氏名

現場の標識は「発注者から直接請け負つたもの」に限られる。掲げなかった場合は10万円以下の過料(第55条第3号)。

あわせて第40条の2は、「建設業を営む者は、当該建設業について、第三条第一項の許可を受けていないのに、その許可を受けた建設業者であると明らかに誤認されるおそれのある表示をしてはならない」としていて、違反は同じく10万円以下の過料になる(第55条第4号)。許可が無いこと自体は違法ではないが、あるように見せることは別に規制されている、という建て付けになっている。


9. 契約書面の義務は、許可が要らない工事にもかかる

ここは間違えやすいので分けて書く。

第19条の書面の義務は「建設工事の請負契約の当事者」にかかる。 許可の有無で切り分けられていないので、500万円未満の工事でも、無許可の業者でも対象になる。第19条第1項が書面に記載して相互に交付せよとしている事項は16号あり、リフォームで効くものを抜き出すと、こうなる。

  • 工事内容/請負代金の額/工事着手の時期及び工事完成の時期
  • 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
  • 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
  • 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
  • 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
  • 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合における……責任……の定めをするときは、その内容
  • 契約に関する紛争の解決方法

6号(設計変更等があった場合の金額の算定方法)は、リフォームで一番もめる「壁を壊してから分かった費用」に直接効く。追加費用が出るかどうかではなく、出たときにどう決めるかが書かれているかを見る欄になる。

一方、見積書の側の義務は「建設業者」にかかる。建設業法第2条第3項は「この法律において『建設業者』とは、第三条第一項の許可を受けて建設業を営む者をいう」と定義しているので、こちらは許可業者に向いた規定になる。第20条は、材料費・労務費などの内訳と工程ごとの日数を記載した見積書を作るよう努めなければならない(第1項)としたうえで、第4項でこう書いている。

建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでに、当該材料費等記載見積書を交付しなければならない。

作成が「努めなければならない」で、交付が「交付しなければならない」。請求すれば出さなければならない側にあるのは交付のほうになる。この規定は、令和7年12月12日に完全施行された改正建設業法のものになる。


見積を受け取ったら見る5点

  1. 総額は税込か税抜か。 税抜450万円台なら、税込で500万円の線をまたいでいる可能性がある。ここが決まらないと以下が決まらない。
  2. 税込の請負代金が500万円以上か。 以上なら、許可を受けた業者でなければ請け負えない工事になる。建築一式工事なら1,500万円(または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事)だが、どちらに当たるかは工事の内容による。
  3. 契約が2本に分かれていないか。施主支給の材料はあるか。 分割は合計額で、支給材料は市場価格を加えた額で判定する。
  4. 見積に許可番号があるか。無ければ、商号で検索システムを引く。 商号・所在地・代表者名・業種・一般/特定の別・許可年月日・有効期間まで出る。処分歴はネガティブ情報等検索サイトのほう。
  5. 契約書面に第19条の項目、特に「設計変更があった場合の金額の算定方法」が書かれているか。 これは許可の有無にかかわらず義務になる。

聞き方としては、「建設業の許可はお持ちですか」と単体で聞くより、「この工事は29業種のどれとして、税込いくらで請け負っていただけますか。許可を受けている場合は許可番号も教えてください」のほうが、法令の建て付けには沿っている。業種と税込金額が決まらないと、許可が要るかどうかも決まらないためになる。


出典(すべて 2026-08-23 に本文を取得して確認)

※ リフォームの見積書を「税込の請負代金が許可の要る線を越えていないか」「住宅設備の品番が特定できるか」「追加費用の決め方が書かれているか」の観点で整理するものを個人で作っています。金額の高い・安いは判定しません → リフォーム見積チェッカー

無料で結果の一部まで見られます。買うかどうかは、そのあとで決められます。

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