記事2026-08-23

車検見積の3項目だけは、1円単位で答え合わせができる — 重量税・自賠責・印紙代の公定額(2026年8月時点)

車検見積のうち自動車重量税・自賠責保険料・検査手数料の3つは公定額なので、車検証の情報があれば1円単位で答え合わせができます。2026年の2つの改定と、整備項目が法定24ヶ月点検のどこに載っているかを、一次資料の記載だけで整理しました。

この記事は 車検見積チェッカー車検の見積を、依頼する前に確認)を作る過程で、 一次資料を読んだ記録です。事業者への送客はしていません。

車検の見積書を渡されて、金額の妥当性が判断できない、という状態はよくあると思う。整備項目の名前が専門的で、必要かどうかが分からない。

ただ、車検の見積は性質の違う費用が同じ紙に載っている。分けると、確認できることがはっきりする。

  • 法定費用(自動車重量税・自賠責保険料・検査手数料)=額が法令で決まっている。車検証があれば1円単位で答え合わせができる
  • 車検基本料・整備費用=法定ではない。公表されている相場統計を見つけられなかったので、この記事では金額の高い・安いを一切書かない

そのうえで、整備項目については「法定点検の項目に載っているか」までは法令で確認できる。「載っているか」は「必要か」とは違うので、そこも後半で書く。


1. まず、法定費用に消費税は乗らない

自動車重量税・自賠責保険料・検査手数料(印紙・証紙)は、いずれも消費税の課税対象外になっている。見積上、これらの項目に消費税が上乗せされていたら、そこは確認どころになる。

小計の取り方の問題(法定費用と整備費用をまとめて課税小計にしている等)であることもあるので、「間違っている」ではなく「この計算はどうなっていますか」と聞く話になる。


2. 自動車重量税 — 重量と年数で決まる

自家用乗用車(エコカー減税に該当しない、いわゆる「当分の間税率」)の税率は、財務省の資料にこうある。

自家用乗用車の場合、13年未満は1年あたり4,100円/0.5t(1.5tでは12,300円)であるが、13年超は1年あたり5,700円/0.5t(1.5tでは17,100円)、18年超は1年あたり6,300円/0.5t(1.5tでは18,900円)となる。

(財務省「自動車重量税の概要」注1)

継続車検は2年分なので、0.5tあたりの年税率 × 重量区分 × 2年 になる。同じ資料は計算例も載せている。

継続車検、車両重量が1.4t、当分の間税率・13年未満 【車両重量】3 ×【税率】4,100円 ×【車検期間】2 →【自動車重量税額】24,600円

これを区分ごとに並べると、こうなる(自家用乗用・エコカー減税非該当・継続検査2年分)。

車両重量13年未満13〜18年18年超
〜0.5t8,200円11,400円12,600円
〜1.0t16,400円22,800円25,200円
〜1.5t24,600円34,200円37,800円
〜2.0t32,800円45,600円50,400円
〜2.5t41,000円57,000円63,000円
軽自動車(自家用・重量によらず定額)6,600円8,200円8,800円

軽自動車の3つの額は、軽自動車検査協会のFAQに実額で載っている(自家用の場合)。普通車側の額は、上の税率から重量区分×2年で計算したものになる。

ここが読み違えやすい

  • 「13年超だから何倍」という単一の倍率は作れない。 自家用乗用車は13年超で約1.39倍・18年超で約1.54倍だが、軽自動車は13年超で約1.24倍・18年超で約1.33倍と、伸び方が違う。軽に乗用車の倍率を当てると多く出る。実額の表を使うことになる。
  • エコカー減税に該当すると額が変わる。 財務省資料は「足元のエコカー減税の対象となる車等、一定の環境性能を有する車両に該当する場合、本則税率が適用される(13年超/18年超の場合を含む)」としていて、本則税率は2,500円/0.5t/年。さらに新車登録からの回次によって免税・軽減の区分がある。該当車では上の表と一致しないのが正しいので、表より安いことを理由に不足を指摘するのは筋が違う。
  • 重量は車検証の「車両重量」を見る。 「車両総重量」ではない。

確定させたいなら公式の照会サービスがある

国土交通省が「次回自動車重量税額照会サービス」を出していて、車台番号と検査予定日を入れると、その時点の重量税額が照会できる

次回の車検(継続検査等)を受ける時の自動車重量税の税額が照会できるサービスです。車台番号、検査予定日を入力することで、検査予定日時点の自動車重量税額の照会が行えます。 (ご利用可能時間 1:00〜23:00)

対象は登録車と小型二輪で、軽自動車は別扱いになる。エコカー減税の判定込みで公式の額が出るので、上の表で迷ったらこちらが早い。


3. 自賠責保険料 — 2026年11月1日から上がる

自賠責は保険期間で決まる。損害保険料率算出機構が2026年4月30日に金融庁長官へ届け出た内容で、平均6.2%の引上げになった。

例えば、最も代表的な自家用乗用自動車(保険期間24か月、離島および沖縄県を除く地域の場合)では5.2%(910円)の引上げとなります。新料率は2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約に適用されます

主要車種の改定率の例(24か月契約・離島および沖縄県を除く地域)は資料に表で載っている。

車種現行基準料率改定基準料率改定額
自家用乗用自動車17,650円18,560円+910円(5.2%)
軽自動車(検査対象車)17,540円18,660円+1,120円(6.4%)

36か月契約(新車新規登録時)は、自家用乗用 23,690円→24,690円、軽自動車 23,520円→24,830円。

ここが読み違えやすい

  • 境目は「車検を受ける日」ではなく「保険期間が始まる日」。 2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約が改定後になる。10月に受ける車検の見積に18,560円と書いてあっても、11月始まりの契約なら正しい、ということが起こる。
  • 軽のほうが普通車より高くなる。 現行は軽17,540円<普通車17,650円だが、改定後は軽18,660円>普通車18,560円で逆転する。「軽なのに普通車より高い」は改定後の正しい姿になる。
  • 離島および沖縄県は別料率。 上の額はそれを除く地域のもの。

4. 検査手数料(印紙代) — 令和8年4月1日に改定済み

国土交通省の資料の書き出しはこう。

近年の人件費・物価の上昇に伴う施設・設備・機器の老朽化更新費及び自動車検査登録情報処理システムの維持費の増加等に対応するため、本年4月1日(水)より、自動車の登録・検査の法定手数料を改定します ※ OSS申請と窓口申請で改定額が異なりますのでご注意ください

継続検査(窓口申請)の検査手数料の合計(国の検査登録印紙+自動車技術総合機構の審査証紙)は、改定後こうなっている。

継続検査の受け方車種区分令和8年3月31日まで令和8年4月1日から
保安基準適合証提出(指定整備工場・いわゆる民間車検場)普通・小型(二輪以外)1,800円2,100円
同上1,800円2,100円
持込検査普通2,300円2,600円
持込検査小型(二輪以外)2,200円2,500円
持込検査2,200円2,500円

ここが読み違えやすい

  • 同じ車でも、指定整備工場で受けるか陸運支局へ持ち込むかで額が違う。 見積の印紙代だけを見て高い安いは言えない。どちらで受ける前提の見積かとセットになる。
  • 1,800円・2,200円・2,300円という額が書かれていたら、改定前の額になる。見積の作成時期によっては、単に更新されていないだけということもある。
  • OSS申請(電子申請)では額が別、と資料自身が注意している。上の表は窓口申請の額。

5. 整備項目 — 「法定点検の項目か」までは法令で確認できる

ここからは金額ではなく、項目の位置づけの話になる。

自家用乗用車の法定24ヶ月点検の内容は、自動車点検基準(昭和26年運輸省令第70号)の別表第六「自家用乗用自動車等の定期点検基準」に書かれている。国土交通省の説明はこう。

自家用乗用自動車など、いわゆるマイカーのユーザーの皆さんは、下表の通り1年ごとに29項目、2年ごとに1年ごとの29項目を含む計60項目の点検整備を行う必要があります。

重要な点:点検基準は「交換」を義務づけていない

別表第六に並んでいるのは、たとえばこういう記載になる。

  • ブレーキ・ディスク及びパッド … 「パッドの摩耗」「ディスクとパッドとのすき間」
  • バッテリ … 「ターミナル部の接続状態
  • 原動機 潤滑装置 … 「油漏れ
  • トランスミッション及びトランスファ … 「油漏れ及び油量」
  • 原動機 本体 … 「エア・クリーナ・エレメントの状態
  • 電気装置 点火装置 … 「点火プラグの状態

どれも「状態を確認する」という書き方で、交換周期を定めた規定は置かれていない。(自動車点検基準の全文を e-Gov の法令データで取得して確認したところ、「交換」という語は本文・別表を通じて出てこなかった。2026-08-23時点)

つまり「法定点検だから交換が必要」という説明は、点検基準を根拠にする限り成り立たない。交換の要否は点検の結果で決まる、というのが法令の建て付けになる。ブレーキパッドなら厚みの測定結果、という形で。

点検自体を省略できる場合が2つ明記されている

別表第六の注記に、こうある。

(※1)印の点検は、自動車検査証の交付を受けた日又は当該点検を行つた日以降の走行距離が1年当たり5千キロメートル以下の自動車については、前回の当該点検を行うべきこととされる時期に当該点検を行わなかつた場合を除き、行わないことができる。 (※2)印の点検は、点火プラグが白金プラグ又はイリジウム・プラグの場合は、行わないことができる。

(※1)が付いているのは、ブレーキパッド/ライニングの摩耗、タイヤの状態、ホイール・ベアリングのがた、トランスミッションの油漏れ及び油量、点火プラグの状態、エア・クリーナ・エレメントの状態などになる。

ただしこれは「点検を行わないことができる」であって、「整備が不要」ではない。 注意して読む必要がある。

「点検項目に無い=不要」ではない

見積によく出てくる項目のうち、自動車点検基準の別表第六にも保安基準にも該当する項目が見当たらなかったものがある。エアコンフィルター、オイルフィルター(潤滑装置の点検項目は「油漏れ」のみ)、タイミングベルト、添加剤・コーティング、下回りの防錆(アンダーコート)など。

それでも「不要」とは言えない。 道路運送車両法は、点検の結果に限らず整備義務を課す作りになっている(第47条の2第3項・第48条第2項が「点検の結果、保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合しない状態にあるとき」と定めている)。国土交通省告示の「自動車の点検及び整備に関する手引」も、こう書いている。

ここでは、(中略)点検を行った結果又は点検を行わなくとも使用状況等によって、清掃、調整、交換などの整備が必要となった場合、通常行われることが多いものの代表例について、その実施の方法を説明しています。

タイミングベルトのように、切れると走行不能になるがメーカーの指定交換時期で判断するもの(メンテナンスノート)もある。

だから言えるのはここまでになる:「これは法定24ヶ月点検の項目です」「これは点検基準に項目が見当たらないので、交換をすすめる理由を聞く必要があります」。「不要です」ではない。

逆に、これが駄目だと車検に通らないもの

保安基準に直結する項目は、点検か交換かという話ではなく、適合しなければ継続検査に通らない。

  • タイヤ:溝が「いずれの部分においても1.6ミリメートル以上の深さを有すること」(保安基準第9条第2項・細目告示第167条第4項第二号)。ウエア・インジケータで判定してもよいとされている
  • 灯火装置:前照灯・尾灯・制動灯・方向指示器など(保安基準第32条〜第42条)。点灯しない、色や取付けが基準外だと通らない
  • 窓ふき器(ワイパー)・洗浄液噴射装置(保安基準第45条)
  • 発炎筒(非常信号用具):備え付けが保安基準第43条の2の要件。細目告示は「損傷し、又は湿気を吸収したため、性能の著しく低下した発炎筒」を不適合としている(「有効期限切れなら即不合格」と明記した規定は確認できなかったので、そこまでは書かない)
  • 排気(マフラ・触媒):排気ガスの値が基準を外れると通らない(保安基準第31条)

6. 車検基本料と整備費用の「相場」は、この記事では書かない

車検基本料(点検・検査代行料)の業態別相場について、公的統計・業界団体の公表調査・大手比較サイトの集計値のいずれにも、出典として示せる相場表を確認できなかった(2026-08-23時点の調査範囲)。検索で出てくるのは各社の自社料金表と個別記事の概算だけだった。

なので「基本料○円は高い」とは書けない。書けるのは、基本料に何が含まれているか(点検・検査代行・テスター等)を項目として確認するところまでになる。ユーザー車検(自分で持ち込む)を選んでいるのに代行料が載っている、といった内訳の噛み合わせは確認できる。


見積書を受け取ったら見る5点

  1. 法定費用3項目に消費税が乗っていないか。
  2. 重量税は、車検証の「車両重量」と初度登録年月から出した額と合っているか。 エコカー減税該当車は表と違って正しいことがある。確定させたいなら「次回自動車重量税額照会サービス」。
  3. 自賠責は、保険期間の開始日がいつか。 2026年11月1日以降に始まる契約なら改定後の額(自家用乗用18,560円/軽18,660円)が正しい。
  4. 印紙代は、指定整備で受けるのか持込なのか。 2,100円か2,600円/2,500円かはそれで決まる。1,800円・2,200円・2,300円は改定前の額。
  5. 整備項目は「法定24ヶ月点検の項目か」「保安基準に直結するか」「どちらでもないか」で分ける。 どちらでもないものは、すすめる理由(測定結果・走行距離・メーカー指定時期)を聞く。

「この項目は必要ですか」と聞くより、「点検の結果、どの数値がどうだったので交換なんですか」と聞くほうが、法令の建て付けには沿っている。点検整備記録簿には、交換した主な部品や測定結果(ブレーキ・ライニング、ブレーキ・パッドの厚みなど)を必要に応じて記載する、と手引にも書かれている。


出典(すべて 2026-08-23 に本文を取得して確認)

※ 車検の見積書を「法定費用(公定額との突合)」と「整備項目(法定点検の項目かどうか)」に仕分けるものを個人で作っています → 車検見積チェッカー

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