記事2026-08-23
中古車の見積に「環境性能割」が乗っていたら、それは2026年4月に廃止された税です
自動車税環境性能割は2026年(令和8年)3月31日をもって廃止され、4月1日以降に登録・届出される車両には課されません。中古車の見積に行が残っていた場合に何を確認できるかを、県税の案内と業界団体の告知の記載だけで整理しました。
この記事は 中古車見積チェッカー(中古車の諸費用を、契約する前に確認)を作る過程で、 一次資料を読んだ記録です。事業者への送客はしていません。
中古車の見積書を読み取って諸費用の内訳を仕分けるものを作っていて、税金の一覧を組み直す作業をしていた。そこで気づいたことがある。
自動車税環境性能割は、2026年(令和8年)3月31日をもって廃止されている。
取得時に一度だけかかる税なので、購入のたびにしか出会わない。中古車を買うのは数年に一度という人が多いはずで、前回買ったときには存在した税が、今回は無い。見積書に残っていても、その場で気づける人は多くないと思う。自分も、資料を突き合わせるまで知らなかった。
何が変わったのか
兵庫県が県税の案内ページで、改正前後を表で並べている(更新日 2026年5月7日)。
税制改正により、令和8年4月1日から自動車の取得時に課税される自動車税環境性能割は廃止となり、毎年4月1日に自動車をお持ちの方に課税される自動車税 種別割 が自動車税に名称変更されています。 (軽自動車税環境性能割は廃止となり、軽自動車税種別割は「軽自動車税」に名称変更されています。)
同ページの表では、「取得する時に課税」される自動車税環境性能割(県税)/軽自動車税環境性能割(市町税)の欄に、「令和8年3月31日をもって廃止」と書かれている。
法改正そのものの経緯は、日本中古自動車販売協会連合会(JU中販連)が業界向けに出している告知が具体的だった。
2026(令和8)年3月31日の参議院本会議において、地方税法改正案が可決・成立しました。これにより「自動車税環境性能割」および「軽自動車税環境性能割」は3月31日をもって廃止となりました。 【概要】 内 容:自動車税環境性能割および軽自動車税環境性能割の廃止 対象車両:新車・中古車を問わず、令和8年4月1日以降に登録・届出される車両
同連合会は、あわせて自社サイトで提供していた環境性能割の税額検索サービスも終了したと告知している。
基準は「見積の日付」ではなく「登録・届出の日」
ここは読み違えやすいので分けて書く。
上の告知にあるとおり、判定は登録(軽自動車は届出)の日を基準にしている。見積書の作成日ではない。
だから理屈のうえでは、2026年3月中に登録が済んだ車の精算書に環境性能割が載っているのは正しい。一方、これから登録される車についてはもう課されない。今日(2026年8月)時点で新しく作られた見積であれば、登録は当然4月1日より後になる。
「環境性能割」という行が見積書にあったら、それが何なのかを聞いていい、というのがこの記事で言いたいことのすべてだ。ありそうな理由はいくつかある。見積書のテンプレートやシステムの項目が更新されていないだけ、というのがおそらく一番多い(これは筆者の推測で、統計を持っているわけではない)。ただ、税として金額が計上されているなら話は別で、その分は支払総額に上乗せされている。
名前が変わったせいで、ややこしいところ
同じ改正で、名称も変わっている。
| 2026年3月31日まで | 2026年4月1日以降 |
|---|---|
| 自動車税種別割(県税) | 自動車税(県税) |
| 軽自動車税種別割(市町村税) | 軽自動車税(市町村税) |
| 自動車税環境性能割(県税) | 廃止 |
| 軽自動車税環境性能割(市町村税) | 廃止 |
注意したいのは、「種別割」という旧称が書いてあるだけでは、その資料が古いとは言い切れないこと。たとえば栃木県が公表している令和8(2026)年度の税率早見表は、改称後の年度のものでありながら表題に「自動車税(種別割)」と併記されている。名称は移行途中で、自治体の資料でも両方の表記が生きている。
見るべきなのは名前ではなく、「取得時に課税」と書かれた行が金額付きで残っていないかのほうだ。
余談:業界側の資料でも、行が消えている
中古車の価格表示を所管している自動車公正取引協議会のページに、「支払総額」に含まれる諸費用の一覧表がある。税金の欄には、自動車重量税・自動車税が並んでいる。
このページのHTMLソースを見ると、自動車税環境性能割・軽自動車税環境性能割の行が、コメントアウトされた状態で残っていた(2026-08-23 時点で確認)。表示上は消えていて、続く項目の番号が繰り上がっている。協議会の意図までは分からないが、廃止に合わせて表示から外したものと読める。
ついでに読み直した「支払総額」のルール
同じページを読んでいて、中古車の価格表示のルール自体が自分の理解より細かいことを知った。2023年10月1日施行の改正規約で、中古車の販売価格は「支払総額」で表示することになっている。
①販売価格を表示する場合は、「車両価格」に「諸費用」を加えた価格を「支払総額」の名称を用いて表示 ②内訳として「車両価格」及び「諸費用の額」を表示
そして協議会は、「諸費用」として請求できないものを名指しで列挙している。
1)販売店が中古車を販売するにあたり、当然行うべき作業にかかる費用 ▶「納車準備費用」や「通常仕上費用」等、その名称の如何を問わず、納車前の「車内清掃」、「洗車」、「クリーニング」、「ワックスがけ」等の費用 2)納車前の最低限必要な点検・軽整備や、販売店が必ず実施する軽整備の費用、必ず付帯して販売する場合の「保証費用」や「定期点検整備費用」 3)その他、本来、販売する中古車の「車両価格」に含まれるべき性質のもの ▶「土日祝納車費用」、「利益」、「販売手数料」、「オークション陸送費」、「広告掲載料」等
これらは「請求してはいけない」のではなく、車両価格に含めて表示すべきものという整理になっている。諸費用として別立てで請求した場合は「表示された価格で購入できない不当な価格表示」として重大な規約違反にあたる、と書かれている。
逆に、支払総額に含まれない(=別途になってよい)諸費用として挙がっているのは、任意保険料、希望ナンバー申請費用、リサイクル料金(未預託または追加装備がある場合)、下取車諸手続代行費用、下取車査定料、管轄外登録(届出)費用、納車費用。人によって要否が異なるから、という理由がついている。
ここも留保が要る。公正競争規約は景品表示法に基づいて消費者庁・公正取引委員会が認定したものだが、規約に参加していない事業者もいる。だから「規約違反だ」と決めつけるのではなく、「支払総額と内訳を出してもらえますか」と聞くための根拠として使うのが実際的だと思う。
見積を受け取ったら見る3点
- 「環境性能割」の行が残っていないか。 あれば、それが何なのか、金額が乗っているのかを聞く。
- 法定費用と代行費用が分かれているか。 重量税・自賠責・自動車税・登録や検査の印紙代・リサイクル預託金相当額は、どの店で買っても額の決まり方が同じもの。一方、登録代行・車庫証明代行・納車費用は店が決める役務の対価。合算されていると、公定額に上乗せが混ざっていても外から見えない。
- 「納車準備費用」「納車点検費用」の類が諸費用側にないか。 協議会が名指しで「車両価格に含めるべき」としている項目にあたる。
どれも「これはどういう費用ですか」と聞けば済む。答えられない項目があるかどうか、が実際の見どころだと思う。
出典(すべて2026-08-23に本文を取得して確認)
- 兵庫県「令和8(2026)年4月1日、自動車の税が大きく変わりました」(更新日 2026年5月7日)https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk22/2026jidousyazei.html
- 一般社団法人 日本中古自動車販売協会連合会「自動車税環境性能割の廃止について」https://www.jucda.or.jp/tax/kankyouseinouwari/haishi/
- 栃木県「令和8(2026)年度自動車税(種別割)税率早見表」(旧称が併存している例として)https://www.pref.tochigi.lg.jp/b58/documents/20260331155229.pdf
- 一般社団法人 自動車公正取引協議会「中古車の販売価格の表示が、『支払総額』に変わりました!!」(2023年10月1日 改正規約施行)https://www.aftc.or.jp/contents/am/shiharai/index.html
- 引用は各ページの本文からそのまま引いた。太字は筆者による強調。
- 本記事は税務相談ではない。 個別の課税関係は登録の時期や車両の条件によって変わる。中古車の売買で困ったときは、自動車公正取引協議会の消費者相談室、または消費者ホットライン188(局番なし・相談無料、通話料は自己負担)。
※ 中古車の見積を「法定費用」と「代行費用」に仕分けて、公定額と突き合わせるものを個人で作っています → 中古車見積チェッカー
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